岡部行政書士事務所|化粧品製造販売業

岡部行政書士事務所|化粧品製造販売業とは

化粧品製造販売業とは

  • 化粧品の製造等(他に委託して製造する場合を含み、他から委託を受けて製造する場合を含まない。)をし、又は輸入した化粧品を販売・賃貸・授与することをいう。
  • 製品についての流通責任を負う者。
  • 品質(製造)だけでなく、安全(情報)についても積極的に収集・分析・評価を行い、必要な措置を逐次講じなければならない。

製造販売業者は、製品の製造(包装・表示・保管含む)を製造業の許可をもった業者に委託しなければなりません。製造から販売まで自社で行う場合には製造販売業と製造業の両方の許可が必要です。海外の製品を輸入販売する場合、自社で梱包や保管する場合は製造販売業と製造業が必要ですが、梱包や保管を他の製造販売業者に委託する場合は、製造販売業の許可のみ取得することになります。

許可の要件(化粧品製造販売業|岡部行政書士事務所)

化粧品製造販売業の許可には以下の要件を満たす必要があります。

以下で詳細を述べていきます。各リンクのクリックで各項目へジャンプします。

1)申請者の人的要件

申請者(法人の場合は役員を含む)は以下の1〜5に該当しないこと。(薬事法12条の2第3号)

  • 法第75条第1項の規定により許可を取り消され、取り消しの日から3年を経過していない者。
  • 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった後、3年を経過していない者。
  • 1および2に該当する者を除くほか、この法律、麻薬および向精神薬取締法、毒物および劇物取締法その他薬事に関する法令またはこれに基づく処分に違反し、その違反行為があった日から2年を経過していない者。
  • 成年被後見人又は麻薬、大麻、あへん若しくは覚せい剤の中毒者。
  • 心身の障害により化粧品製造販売業者の業務を適正に行うにあたって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者。

2)総括製造販売責任者等の設置(薬事法第17条第1項)

十分な経験や資格のある総括製造販売責任者や、品質管理(GQP)基準を満たすための品質保証責任者と安全管理(GVP)基準を満たすための安全管理責任者の設置が必要です。

■総括製造販売責任者

総括製造販売責任者は取り扱う化粧品の品質管理(GQP)や製造販売後の安全管理(GVP)の業務を統括する責任者であり、常勤であることが求められます。要件は以下のとおりです。

必要要件 証明書類
1 薬剤師 薬剤師免許証(窓口での原本照合が必要)
2 高校またはこれと同等以上の学校で、薬学または化学に関する専門の過程を修了した者 例)卒業証書または卒業証明書
3 高校またはこれと同等以上の学校で、薬学または化学に関する科目を修得した後、医薬品、医薬部外品または化粧品の品質管理または製造販売後安全管理に関する業務に3年以上従事した者(※1) 例)単位取得証明書+従事証明書
4 厚生労働大臣が1〜3にあげるものと同等以上の知識経験を有すると認めた者(※2)

(※1)薬事法上の製造販売業や製造業の許可をもつ場所での実務経験が必要です。
(※2)医薬品(医療用ガス等を除く)または高度管理医療機器もしくは管理医療機器の総括製造販売責任者を経験した者が該当します。(平成16年7月9日 医薬食品局長通知)

■品質保証責任者

化粧品の製造販売業者は品質管理業務にかかる品質保証責任者をおかなければなりません(GQP省令第17条)。特に資格や経験に関する要件はありませんが、以下を満たす必要があります。

  • 常勤であること。
  • 品質管理業務を適正かつ円滑に遂行できる能力がある者。
  • 化粧品の販売に関する部門に属する者ではないこと。
■安全管理責任者

化粧品の製造販売業者は安全管理業務にかかる安全管理責任者をおかなければなりません(GVP省令第15条、第13条2項)。特に資格や経験に関する要件はありませんが、以下を満たす必要があります。

  • 常勤であること。
  • 安全確保業務を適正かつ円滑に遂行できる能力がある者。
  • 化粧品の販売に関する部門に属する者ではないこと。

これらの責任者を合わせて製造販売3役といいます。この3役については兼務することも可能です。

総括製造販売
責任者
品質保証
責任者
安全管理
責任者
総括製造販売
責任者
兼務可 兼務可
品質保証
責任者
兼務可 総括も兼務の
場合は可
安全管理
責任者
兼務可 総括も兼務の
場合は可

3)品質管理・安全管理の要件

化粧品の品質管理の方法や安全管理の方法(GQP・GVP)が基準に適合していることが必要です。

  • GQP(Good Quality Practice):品質管理の基準
    どのように品質管理・確保のための業務を行うかなどの基準を定めたもの。品質保証責任者の設置が必要です。
  • GVP(Good Vigilance Practice):製造販売後安全管理の基準
    不具合や副作用など品質の安全性にかかわる問題を常に監視する体制作りをするための基準。この基準の下、安全管理責任者の設置が必要です。

GQP・GVP手順書、記録類の作成|岡部行政書士事務所

1)GQPやGVPとは?

これを一言で言うと次のようになります。

  • GQP → 製品の品質に関すること
  • GVP → 製品の安全性に関すること

こうしたことについて決めたルールの呼び名をGQP、GVPと呼びます。

2)化粧品製造販売業者は、GQP、GVPの体制作りが必須

化粧品製造販売許可業者は、事業の遂行のために、取り扱う化粧品について、品質保証や安全管理を適切に行うことが求められています。
そのために、業務の手順書や記録類を整備したうえで、適切に品質保証・安全管理を行うことが必要になります。

化粧品製造販売業者は、GQP省令に基づき「品質管理業務手順書」や記録類を作成する義務があります。品質標準書等も整備しておくと良いでしょう。
また、GVP省令に基づき、市販後安全管理体制を整えておかねばなりません。
万が一の場合の、商品回収の方法等をマニュアル化しておくことが必要です。
化粧品製造販売業者は、安全管理手順書の作成義務はありませんが、GVP省令への適合は必須要件ですので、GVP省令に基づいた業務を遂行するためには、手順書の整備は事実上必須です。

GQP、GVPの体制の整備は、化粧品製造販売業の「許可要件」になっていますから、許可申請時までには、手順書や記録類、責任者や担当者の決定、手順書に基づいた体制づくりを行う必要があります。

手順書は、「形式的要求事項」(文書化要求など)+「実質的要求事項」(具体的な運用方法)の両方を満たすように、現実に照らして「使える」手順書を作りこんでおきましょう。